不穏な時代を準備した天王星と冥王星のスクエア①

 戦争はある日突然始まるのではありません。特に大国同士の戦争であればなおさら物理面でも精神面でも戦争に向けて準備されていく期間があります。第二次世界大戦は、1938年にドイツ、1941年に日本が開始し、1945年に両国の敗戦で終わりましたが、歴史的にはこれに先立つ1931年から1934年初頭頃までにこの両国はともに国際協調路線から離脱し、第二次世界大戦戦争へ大きく傾く不穏な時代への舵取りをしています。その舵取りは、日本においては満洲事変によって、ドイツにおいてはナチスによるファシズム体制樹立によって開始されました。

 占星術的視点から言えば、1931~1934年と1938(1941)~1945年という同じ時期に日本とドイツの歴史がともに大きく動いたことは単なる偶然とは解釈しないわけです。このような離れた空間で似た事象が起こることをシンクロニシティ(共時性)と言いますが、シンクロニシティを最も合理的に説明する学問が占星術です。先に説明したようにトランジットとは任意の時間にそれぞれの位置に存在する天体のことを指します。例えば2014年9月現在冥王星は山羊座の12度(11.00-11.99度)にありますが、それは地球のどの位置から観測しても必ず同じ山羊座の12度にあります。従って、2014年9月現在、地球上の全ての人間が(実際は人間だけではないと思いますが)山羊座12度のトランジット冥王星からの影響を受けています。もちろん黄道を移動している他の天体も、その時の度数に応じたその天体固有の影響を私達に与え続けています。これがシンクロニシティの占星術的説明です。なお、その影響が目立つかあまり目立たないかは、その個人や組織や国家のネータルの天体等の感受点の位置等によって決まります。例えば活動宮(牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座)の12度近辺に天体を持っている人は、現在山羊座の12度にいるトランジット冥王星からの影響が顕著に出ていることでしょう。

 話を戻しますが1931~1934年には占星術的にとても大きなイベントが起こっています。トランジット天王星とトランジット冥王星のスクエア(90度のアスペクト)です。

昭和初期の天王星と冥王星の動き(再掲)
昭和初期の天王星と冥王星の動き(再掲)

 上の図では天王星(青)と冥王星(赤)の軌道が接近・交差しているところは天王星と冥王星のスクエアが形成されていることを示しています。天王星はそれまでの社会に新しい理念を持ち込み、古い体制を打破しようする改革の天体です。古い理念や情感に囚われないため、離反したり独自な行動を取ることが多くなります。一方の冥王星は10天体で最も公転周期の大きい天体であり、現世的な価値観の外側にまで及ぶ最も深い変革を意味します。この二つの天体がスクエアという波風を立てるアスペクトでお互いを刺激しあうので、このアスペクトは世相として破壊的な雰囲気を持った変革の時代を作ります。テロや軍事衝突などが起こりやすいですし、過激な思想を持った組織が台頭しやすい時代ということになります。

 このアスペクトも勿論世界全体の世相に影響を与えていたわけですが、日本やドイツの歴史には後述するように特に大きな影響を与えました。日本のケースから具体的に見て行きましょう。

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