さて、これから日本国憲法図を具体的に分析していきます。ホロスコープを読む順番に決まりはありませんが、1枚のホロスコープには辞書1冊分くらいの情報量があるので、慣れないと「木を見て森を見ず」な読み方になりやすいと思います。それを避けるためにまず10天体が属するサインのバランスをチェックをするとよいでしょう。具体的には10天体が属するサインを列挙し、3区分や4元素で分類してカウントします(完全マスター西洋占星術p.37~47参照)。ある程度ホロスコープの読みに慣れていれば自然に10天体全部に目を通して全体のイメージを作るのでこの分類を省略してもいいのですが、それでも改めて3分類と4元素に整理してみると気付きが得られることは多いと思います。日本国憲法図においてもここから重要な情報が得られます。
[日本国憲法]
3区分・・・活動1(海王星)、固定6(月・太陽・火星・木星・土星・冥王星)、柔軟3(水星・金星・天王星)
4元素・・・火4(水星・金星・土星・冥王星)、地0、風3(月・天王星・海王星)、水3(太陽・火星・木星)
3区分から読み取れる最大の特徴は固定サインへの大幅な偏りです。10天体中6個が固定サインですが、月・太陽・土星・冥王星という軸になる天体が全て入っているので、実際には10分の6以上の重みがあります。固定サインは「持久力や維持する力、あるいは動きに抵抗する性質」を意味しており、ひとことで言えば「頑固な」性質です。個人のホロスコープであっても固定宮への偏り度合は頑固さの程度を示すと思って概ね間違いありません。
何かを変化させることへの抵抗という性質は日本国憲法にまつわる態度として際立った特徴のひとつです。変化させること自体への抵抗が強い極めて融通の効きにくい性質です。
例えば「憲法を一字一句変えさせない」というのは、左翼勢力のプロパガンダです。聖書や経典じゃあるまいし、占領軍がたまたまその時点で日本を弱体化させるために押し付けた憲法(実際には共産化という新たな脅威に対応する必要が生じたことで、わずか数年後に占領軍の方針は転換している)を、押し付けられた側が70年経った今も「一字一句変えさせない」と主張しているのは滑稽です。
前述の通り日本国憲法については「変化することへの抵抗」自体が目的化しているために、都合の悪い矛盾点に向き合わないで来ました。そのための日本国憲法の歪みは大きく護憲派の主張はもはやほとんど屁理屈となっています。百歩譲って公布された時点で「立派な」憲法であったとしても、内外の時代の情勢が変わればそれに即してアップデートしていくのが当然の発想なのです。
例えば九条を守ることは平和を守ることだと言う、最大の欺瞞について書きます。日本国憲法九条が平和条項だというのは一項についてのみ言えることであり、二項は平和条項でもなんでもないどころか、むしろ平和に対する脅威となりうる条項です。九条一項は1928年に締結されたパリ不戦条約のコピーであり、自衛戦争は許されるが侵略戦争は禁じられるという、ごく常識的な国際基準を踏襲した条文と言えるでしょう。改憲派のほとんどは一項ではなく二項について問題にしているのです。二項は「前項の目的を達するために、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」です。戦力不保持と交戦権否認であり、文字通りに遵守したとすると自衛が一切不可能となります。これでは日本人の生存権が守れないと同時に、日本全体を完全な軍事空白地帯にしてしまう可能性を示していることから国際平和にとってもこれほど危険なことはありません。
実際はすでに二項は空文化しているのに現実に即して直すことすら怠ってきました。ごく常識的な国語力を持って解釈すれば1952年に自衛隊という戦力を持った時点でこの条文は空文化したのですから、現実に合わせて直ちに変えて然るべきものでした。
一方、憲法が70年間変わっていないことには日本国憲法後のほとんどの時期を与党であった自民党にも大いに原因があります。自民党は「自主憲法制定」を党是としてできた党であるにも関わらず、自主憲法どころか一度の改憲の発議すらしてこなかったのです。まったく不思議な現象ですが、実はその原因は自民党のホロスコープをみれば判明します。
ここでも3区分や4元素で分類してカウントします。
[自民党]
3区分・・・活動2(火星・海王星)、固定7(月・水星・太陽・木星・土星・天王星・冥王星)、柔軟1(金星)
4元素・・・火4(金星・木星・天王星・冥王星)、地0、風2(火星・海王星)、水4(月・水星・太陽・土星)
日本国憲法図とかなり共通点が多く、固定宮への偏りが顕著です。固定宮のなかでも日本国憲法図と同様に蠍座♏と獅子座♌のスクエアが目立ちます。