今までも述べてきたように、近代以降の日本にとって憲法図と元号図は日本国のありようを決めている二大ホロスコープであり、憲法もしくは元号が変わるごとに日本は大きくキャラクターを変化させてきました。これらの図を詳細に読み解くことは日本そのものを読み解くことであり、日本が抱える重要な問題を解読するための最も根源的な方法と思います。この戦後編では主に現行憲法である日本国憲法の図を読むことで、戦後から現在に続く問題を解明します。
日本国憲法は日本の被占領時代にGHQが起草した憲法です。起草したのはGHQの内部組織である民政局に所属する25人のアメリカ人です。マッカーサーの思いつきで急遽起草チームになったのであり法律の専門家は一人もいませんでした。国の基本である憲法が外国人に起草されたということは我が国の自決の権利を根底から脅かす異常事態です。また国際法的にもハーグ陸戦条約第43条「占領者は占領地の現行法律を尊重する」という原則を踏みにじる暴挙でした。日本人にとって屈辱的な憲法であり、なおかつ成立過程に瑕疵があることから、常識的に考えれば独立後に直ちに改正手続きを取られて然るべきものでした。事実、起草者である民政局のメンバー自体は、「自分たちが作った憲法は占領時の暫定的なものであり独立後すぐに日本人が改憲するだろう」という意識を持っていたことが元民政局員への後の時代のインタビューで明らかになっています。それにもかかわらず実際には独立後も自主憲法を取り戻すことが出来ていないどころか、70年以上たった現在に至るまで一度の改正すらもできていません。このように日本国憲法が極めて硬直化していることにはホロスコープ上の明確な理由があり、それはすぐ次のページで述べます。
敗戦直後の1946年に公布された日本国憲法には当時の国際状況が色濃く反映されています。勝者である連合国は敗戦国日本が二度と自国の脅威にならないように弱体化させる目的がありました。GHQは占領下の日本を非武装化し物理的に弱体化させるとともに、日本が一方的に戦犯国であるという断定をし、贖罪意識を植え付けるためにWGIPと呼ばれる洗脳キャンペーンを行いました。これは勝者である連合国の論理と都合の押し付けなのですが、日本国憲法によって後述するようなキャラクターに変化した戦後の日本はむしろ積極的にその論理にのっかり、WGIPに意図された自虐史観を自ら増幅してきました。ちょうどストックホルム症候群のように、日本は勝者による不法な憲法押し付けと論理に過剰適応することになったのです。ここで結論のひとつを先に述べると、日本国憲法のホロスコープ図にはそのような自虐的なキャラクターが明瞭に読み取れます。「戦後レジーム」とは戦勝国から一方的に押し付けられた価値観とそれに沿って構築された戦後秩序のことであり、安倍政権がその克服を訴えていることはよく知られています。実は戦後レジームの本体は日本国憲法図です。日本国憲法図によって形作られた自虐的な価値観があるからこそ、それと親和性の高いGHQの日本人を貶めるための洗脳効果は独立回復後もなお維持されることになったということです。
ところで占星術の勉強を始めると誰もがまず自分や身近なひとのホロスコープに興味を持つと思いますが、ホロスコープを使って自己や自己のアイデンティティである自国のことを分析する意義は何でしょうか。その意義の一つはホロスコープが精密な相対化ツールであり、自分を客観的に見るチャンスを与えることだと思います。ひとは「自分の価値観」でものごとを判断しながら、それが中立な見方だと思い込む傾向があります。もちろん自分も偏った存在であることは「ある程度は」誰でも受け入れていると思いますが、乗り物で移動中に自分が止まっていて周囲の風景が流れていると錯覚するかのように、世の中の自分の立ち位置を相対的に把握するというよりは、自分を基準として他人を評価することに慣れているのが人の世の現実です。客観的に物事を判断するためには、自分の相対的な立ち位置(偏り)を理解することが前提になります。そして自分の立ち位置を把握するためには、客観的な土台がなくては不可能です。その役割を果たすのがホロスコープです。例えばホロスコープは360度の円からできています。自己の意識を分割した太陽系の天体は、それぞれが必ずその円のどこかの度数に位置し、中心に位置することはあり得ません。360度の各度数には固有の意味がありますが、どの度数も360分の1の価値であり、他の度数に相対化されます。個人個人は自分の度数の価値観にはかなりの執着を見せ、その世界観から物を見ます。執着する事自体は結構ですが、その価値観を中立なものと思ったり、その世界観こそが他に比べて正しいと感じたりするのは思い込みに過ぎません。ホロスコープはその思い込みのトラップを抜けるのにもかなり使えるツールなのです。
なぜこのような話をするかと言うと、個人だけでなく国家においても同じことが言えるからです。国家のホロスコープ図も国民性の形成に大きな影響があり、その国で支配的な価値観や常識や慣習を決めています。国家のホロスコープが示している価値観はその時代の価値観を強力に規定します。そこから一歩外に出て冷静に見れば矛盾だらけのものであっても、その中にどっぷり染まっているひとにはその矛盾がわかりません。それは個人のホロスコープのケースとまったく同様に思い込みのトラップです。もちろん個々の国民は全員異なるホロスコープを持ち多種多様なキャラクターや価値観を持っているために潜在的には社会の中にはあらゆる可能性が内在されていますが、国家のホロスコープによって規定される価値観はしばしば同調圧力として機能するので、大手マスコミの横並びの報道にみられるようなうんざりする単調さの弊害があることも事実です。
これから日本国憲法図の分析をします。日本国憲法図はそれが公布された1946年11月3日のホロスコープです。戦後に日本人の価値観の大転換が起こりましたが、その最大の転換点は1946年11月3日であり、この「戦後編」で述べる自虐的・反日的な戦後日本人のキャラクターはこの日以降のものです。戦後日本の常識も「ガラパゴス」などと揶揄されるくらいおかしなことが沢山ありますが、ホロスコープを分析することで自分達を掘り下げてみましょう。